
黄金比と白銀比
『白銀比』は『大和比』とも呼ばれ、日本古来の建築物に多く見られる美の比率。どうやら直線的な構造物を好む日本人の感覚はこの比率を美しく感じるらしい。
身近なところでは、紙サイズの工業規格が白銀比である。AサイズとかBサイズのような。
真ん中から折るとタテ・ヨコの比率が同じくなる。こういう折り目の正しさを求めるところが大和精神というものかもしれない。

『黄金比』は、どちらかというと西洋の建築物や造形物、更に自然界に多く見られる曲線的な美の比率である。

黄金比の中に現れるのは、フィボナッチ数と呼ばれる数。0、1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144・・・
この数列はひとつ前の数字を足しながらつくる単純な数列である。0+1=1 1+1=2 1+2=3 2+3=5・・・この整数でおおよその黄金分割がつくれる。

共通しているのは、どちらも『自己相似が繰り返される神秘の比率』であり、私たち生命体はこの不思議比率を持つ構造に対して『安定』や『美』を感じる。つまりこれらはバランスのよい比率なのである。

遷聖記と神秘比率
白銀比は1対2の平方数なので1.414・・・だけど、7/5つまり1.4を白銀比として扱うのが『大和比』だ。その誤差が許されるなら、1.44も白銀比の範疇とみてもよいのではないだろうか?そして1.62はほぼ黄金比だ。

古代出雲世界のレイライン地図を描きながら、レイラインポイントの位置関係は何だろう?と、アプリの機能を使って距離を測ってみた時、神秘の比率にかなり近い数値が浮かび上がってきたのでゾクっとしてしまった。
たまたまこのレイライン界隈にいたウィルさんに、遷聖記に登場してもらったわけだけど、測ってみたらその所在の比率までが、ぴったり連動していたというのだから、この偶然には驚かずにいられなかった。しかも『大和比』と呼ばれる比率にかなり近いのだ。
直角の二等辺三角形から生まれる『大和比』は、神社の三角配置やレイラインをつくるような三角法技師にとって、普通に『聖なる比率』だったのかもしれないが、それにしても自然の山がそこにあるという偶然も、すごすぎる。
アラビア数字のなかった時代にどんな計算をしていたのだろうと、すぐに計算機をたよってしまう現代人の私には想像もできないけど、そんな時代は数より図形を重んじていたのだろう。数字を計算しなくてもヒモ1本で、大和比は簡単につくれるのだから。
日本にはこのようなレイラインがたくさんあるらしいのだけど、何の意味や目的があって、天文をたよりとするような意味不明の地図をつくっているのかは、よくわからない。だが、このようなことは天文知識と無関係では実現できないだろうことは確かだ。
方位を持つ幾何学的な遊びは、出雲族、安曇族、住吉族の痕跡に多く見られるらしい。どれも海との関係が強い古い民族だ。
💛 参考書籍 Amazonページ
三橋 一夫 著 『神社配置から古代史を読む』
倭族の習俗は、驚くほど遠く海の向こうの世界にまで広がっている。多くの部族があり、金印王朝の頃の日本には30ほどの倭人国があったらしい。これら海の民族は大洋を行き来すべく、天文学に結びついた航海術に精通していたのではないだろうか、とも思うのだが・・・では果たして、陸に持ち込んだレイラインには何の意味があるのか?

上空より見下ろしてこそ、巨大地図に意味があるように、思えてならないのだが、一体誰が天より山を見下ろせるのか?・・・そこから遷聖記という空想物語は始まったのだ。